2010年のこと【読書編】

というわけでさくさくいこう!
大ニュースは、サリンジャーが死んだこと。ついに未来の世界に来たのか、と思いました。『ライ麦畑でつかまえて』、夏休みにタイムカプセルに入れちゃった。

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

もうひとつの大ニュースは、大好きなブローティガンの新刊が出たこと。しかも、藤本和子訳で。これほど編集者という職業をすばらしいと思ったことはない…!!心の底から、藤本和子さんのように歳を重ねたいです。ていうか藤本さん、ご自身のブログでさらりと「エドナ・オブライエン」などと人名を間違えていらした。そういうところが、好き!もうひとつ、これは個人的なことだけれど、神保町に初めて行ったのは、かなり大きなターニングポイントになったように思う。それまで古本って苦手だったので。おかげで週に数冊、本が増えていきました。だいたい雑誌だけどね。
では、大学生らしく学術書。えっと、相変わらず難しい本から遠ざかった年でした。
目下ゼミの課題でアレント『人間の条件』を読んでおります。文体になれてきた。これ、ソクラテスとかプラトンとかアリストテレスとかに触れたくなりますね…。TAのおねえさまの罠かしら…。
人間の条件 (ちくま学芸文庫)

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

一番苦労したのはハーバーマス『公共性の構造転換』かしら。ドイツ語が読めたら、もっと読みやすかったのかも。
公共性の構造転換―市民社会の一カテゴリーについての探究

公共性の構造転換―市民社会の一カテゴリーについての探究

ちょくちょく読んで、ためになった!体力ついた!と思ったのは、宮台真司サブカルチャー神話解体』かしら。若き日の宮台真司は、もっともっと向こう見ずだった感じがする。自信たっぷりで、読んでいて気持よかったです。ジェンダー系の本もたっくさん読みました。伏見憲明『欲望問題』、めちゃくちゃよかったです。自分の欲望と現実世界のルールにどう折り合いをつけていくか、丁寧に魂込めて書いている。あと、みんな上野千鶴子を毛嫌いしないで読んでみなよ!というか彼女は社会学者としての仕事がすごい。森村泰昌『感じない男』も、なかなかよかった。射精が気持よくない、という個人的すぎる話を深く深く掘り下げて書いている。自分の痛みが、世の中の役に立つんだな、と知らされます。
欲望問題―人は差別をなくすためだけに生きるのではない

欲望問題―人は差別をなくすためだけに生きるのではない

女ぎらい――ニッポンのミソジニー

女ぎらい――ニッポンのミソジニー

感じない男 (ちくま新書)

感じない男 (ちくま新書)

そういえばルソー『社会契約論』は、(先生におこられそうだけど)過激な思想だと思いましたよ…。
社会契約論 (岩波文庫)

社会契約論 (岩波文庫)

勉強してないからもうこれ以上書けない。
日本文学については、夏休みに文芸誌をたくさん図書館で借りてきたので、いつもよりも触れられました。
中森明夫アナーキー・イン・ザ・JP』、非常に楽しく読みました。どっかに感想を書いたはずです。綿矢りさ勝手にふるえてろ』、これは西野カナへのアンサーソング説が出まくりましたね。自分に引きつけて話して申し訳ありませんが、このブログの「妄想」カテゴリみたいな、女の子の雄弁なひとり語りです。橋本治『リア家の人々』、小さいころに親が読んでいた難しい小説を勝手に読んだような気分になりました。普段読まない感じの、静かな小説。ひとつの家族を通して昭和時代を語る小説です。
アナーキー・イン・ザ・JP

アナーキー・イン・ザ・JP

勝手にふるえてろ

勝手にふるえてろ

リア家の人々

リア家の人々

あと、村上春樹ノルウェイの森』を読み返した。どっかに記事があるはずだ。
ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

趣味で読んだ本。穂村弘『絶叫委員会』がサイコー!言葉に敏感にならなくてはいけないな、とあらためて思わされます。『短歌の友人』は彼の本業。エッセイとは違う真面目な顔にドキドキ…というのは冗談ですが、これを読めばみんな短歌にはまるはずだ。みんなはまろうぜ!
絶叫委員会

絶叫委員会

短歌の友人

短歌の友人

隈研吾『新・都市論TOKYO』も最高によかった。隈研吾と、あとライターの人(名前失念)が東京のいろいろなまちを歩きまわり、ああだこうだおしゃべりする本です。読んだあと、書を捨てて町へ出たくなること間違いない。隈さんの他の論考もちょいちょい読みました。千木良悠子『だれでも一度は、処女だった。』、いろいろな人の処女&童貞喪失の生々しい話が山ほど読めます。これはおもしろい。
新・都市論TOKYO (集英社新書 426B)

新・都市論TOKYO (集英社新書 426B)

だれでも一度は、処女だった。 (よりみちパン!セ)

だれでも一度は、処女だった。 (よりみちパン!セ)

内沼晋太郎『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』、紹介してもらった本です。就活とかそういうつまらん枠組みでものを考えることがいかにばかげているか。オルタナティブを提示してくれる本です。その関連でいえば、坂口恭平『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』もそんな感じだったな。家なくていいじゃん、金なくていいじゃん、という。目からウロコ。ただし、「社会」とか「家族」とかに参加できるかというと、それは疑問符がつくかな。もちろんそれがすべてじゃないんだけどね。あとは、ホームレス(都市型狩猟採集民)って、実際問題、女の子はなれません。というわけで、かなりホモソーシャル臭もする本でした。
本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

ゼロから始める都市型狩猟採集生活

ゼロから始める都市型狩猟採集生活

仕事系でもうひとつ、須田将啓、田中禎人『謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦』。若き広告マンふたりが、まったくあたらしいサービスを思いついて企業する自伝。いやーこれはよかった!こういう会社がある日本の未来は明るいなあ、と思います。
謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦

謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦

雑誌。宝島社の躍進は、やっぱり他の出版社が気にしているところらしいです。当たり前か。個人的には、昔のとんがっていたころのほうが好きです。付録に力を入れすぎて、内容がめちゃくちゃ薄くなったように思うんだけど。高校生のころにおしゃれになりたくて「Spring」を買って、読めないブランド名をたくさん覚えてあこがれて、大学生になってから恐る恐るセレクトショップやブランドのお店に入って汗をかいて帰った、そういう思い出を少し裏切られた気分になってしまいます。入学祝いを持って初めてアメリカンラグシーに入って、がんばって買った時計とか、なんかそういうこと。私にとって宝島社の雑誌は、その入口だったのになあ。
spring (スプリング) 2011年 02月号 [雑誌]

spring (スプリング) 2011年 02月号 [雑誌]

「I Love MAMA」、ほんといいですね。大好きです。最大級の賛辞を述べたい。私くらいの年代のママが読む雑誌です。節約メニューや旦那の浮気やらDVの話、果ては離婚、そして未婚での出産…。を、とにかく明るく派手に、受け入れて生きていく術が書いてあります。ほんと、たくましい。そしてママたち、ほんと、美しい。読むと元気をわけてもらえる気がします。チビ子(娘や息子のことです)の名前が多少気になるかな…「琥」とか「瑠」とかそういう字ばっか使っている。
I Love mama (アイラブママ) 2011年 01月号 [雑誌]

I Love mama (アイラブママ) 2011年 01月号 [雑誌]

あとは今月号の「FUDGE」と「装苑」が超いいです。
FUDGE (ファッジ) 2011年 01月号 [雑誌]

FUDGE (ファッジ) 2011年 01月号 [雑誌]

装苑 2011年2月号[雑誌]

装苑 2011年2月号[雑誌]

Coyote」休刊は泣くほど悲しいです。もっと悲しいのは、そのうち「Coyote」がないのが当たり前の世の中になってしまうかもしれないことです。悲しすぎてうまく言葉にできません。
Coyote No.29 特集:サンフランシスコ・クロニクル

Coyote No.29 特集:サンフランシスコ・クロニクル

漫画。意外とあまり読まなかった。
古典(?)を少し。岡崎京子『東京は朝の7時』、『リバーズ・エッジ』。これも感想を載せたかな。きついです。でもこういうきつい漫画、好きです。女!って感じ。大島弓子『バナナブレッドのプディング』。これも感想を書いたかな。「少女」を描かせたら、大島弓子にかなう人はいないんじゃないかな。
リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

岡崎京子―総特集 (KAWADE夢ムック)

岡崎京子―総特集 (KAWADE夢ムック)

バナナブレッドのプディング (白泉社文庫)

バナナブレッドのプディング (白泉社文庫)

現代の漫画。大好きだったのが、久保ミツロウモテキ』!言わずもがなですね。私もこじらせている側の人間なので、ほんともう、読んでてつらかったです。よかった!
モテキ (1) (イブニングKC)

モテキ (1) (イブニングKC)

あとはうすた京介ピューと吹く!ジャガー』、ついに完結しましたね。よかったよかった。けっこうこれは語りつくせません…。先生、次回作に期待しています(本気で)。そして葉鳥ビスコ桜蘭高校ホスト部』…次巻でおしまいなんです!早く出ないかな。光が一番好きです。っていうか全員好きです。最高の漫画です。
ピューと吹く!ジャガー 20 (ジャンプコミックス)

ピューと吹く!ジャガー 20 (ジャンプコミックス)

桜蘭高校ホスト部 17 (花とゆめCOMICS)

桜蘭高校ホスト部 17 (花とゆめCOMICS)

ぜんぜんさくさくいかなかった。約3000字か…。