ロストヴァージンロード

今朝方まで「文化系トークラジオLife」を聞いてしまった。聞いてるだけで頭がよくなる気がするので好きなのだ。パーソナリティのみなさんみたいにおしゃべりできたらな、といつも思う。どれだけ知的訓練を積んで、そのうえでたくさん遊んだんだろう。
でもこんなことする(つまりLifeを聞く)のはあまりにテンプレ文化系大学生だということに気づいて、恥ずかしくなってしまった。まあ津田さんも「あの番組を聞いているのは社会復帰できない感じの院生が多い」って言ってたもんな…。気づいたら自分がそんなふうになっていて、朱に交わればというけれども、そんな感じなんですかね…。
一般的な大学生は、会ったことのない人とツイッターで交流したりしないはずだ。朝までラジオなんか聞かないで、M-1を見て眠るはずだ。ツイッターでは顔文字を使って友人と会話する(メールでやればいいのに)。会いたくて会いたくて震える。
あまりに彼らから遠く離れたところに来てしまった気がする。サブカルも、思想も、なんにも詳しくないのに。(本日、なんかのサイトだか本で見た「ロールズ」の文字をバンド名だと勘違いしたしね…どんだけ難しい本アレルギーなんだよ…心から死んだほうがいい…)
「ふつうの大学生」の友達もいる。っていうかそういう人ばっかだよね世の中。彼らが現実世界でいろいろがんばっている横で私なにやってんの、っていっつも思っている。なんもしてねー。本すら読んでない!世界と私のあいだにはいつも透明の風船みたいなものがあって、直接触ることができない。はい高校生モードさくれつですね。書きながら恥ずかしい!
いろんなものをメタで見ようメタで見ようとして、いつも自分がなんなのか、なにになりたいのか、わからなくなる。昔からそうなの。「ゾーイー」とまったく同じだよなあと思う。そして、あの小説には解決策なんてどこにも示されていないのである。ホールデンも精神病院に入れられちゃうしね。たまに解放されるときだってあるけど、自意識との戦いはいつまでも終わらない。たぶん、死ぬまで。
というわけで。病気をして家から出ずに、気張らなくても読めるツイッターばかりやっていたら、本当に何者にもなれなくなるような暗示さえかかってきたので、今日はリハビリと称してお散歩に行ってきたよ。
家から井の頭公園に行き、一周して帰ってくる、というコース。だいたい1時間半くらいかかる。映画「ノルウェイの森」も見たことだし(ロケ地になっているのです)。
道程で特に面白いことがあったわけじゃないんだけど、普通に病み上がり(というか途中?)にこんなことするもんじゃなかった、と激しく後悔した…。足元はふらつき、頭は痛い。周りの人や物との距離感覚がつかめない。たくさん人にぶつかって、謝るはめになりました。本当は好きな音楽を聞こうと思っていたけど、危ないからあきらめた。
普段なら30分で着く井の頭公園に1時間かけて辿り着き、ベンチでぼんやりした。
待てど暮らせど、松山ケンイチは声をかけてこない。当然である。でも私の下の名前は「なおこ」なのである。映画で何度私の名を呼んだんだよ。そのたびにちょっとだけどきっとしたんだぞ。最後には「死んだ」とまで言われるんだぞ。
そういうわけで、絶望してしまったから帰ることにした。
帰り道は、悪名高いサンロード。別名いつかちゃんのロストヴァージンロード(今勝手に命名した。モテキを見てください)。チェーンのつまらん店ばかり並んでいる。地方都市みたいな通りだと思う。リンデはプレッツェル(パンのほうね!)がおいしいし、バウスシアターはいい映画やってるけど。
道すがら、つくづく思った。私は知的遊戯に向いてないわ。難しい言葉はいつまでたっても覚えられない(エクリチュールとかパロールとかそんなん)。難しい本は、当然読めない。3行読んでみても、気づいたら別のことを考えている。もう、必要最低限しか無理なんじゃないの、って思う。骨太な知識人になりたいし、なるべきだと言われるけれども。まあ分野によるのかなあ。ジェネラリスト、超なりたい。でも。って感じですよ。体力不足だな。
年が明ける前から色づいている南天、歩き過ぎて痛い足の裏、排気ガスを思いきし吸ってしまって「病気になるんじゃないか」とか考えること、すれ違った無職っぽいおじさんが羽織っているジャンパーのあせた蛍光色、前を歩くゲイカップルのちわげんか、寒いけど手袋をはめると不便になるから悩む感じ、ファッション誌を閉じたあとの数種類の絶望、とか。そういうもののことだけ考えて生きていきたい。
ばかみたいだけど。
家に帰ったら、説明会に行った会社からメールが来ていた。入社したいならエントリーシート出してね、とのこと。これ、会社によって締切りも書くべきことも違うんだよ。
うまく結びつかないなーと思う。目の前にある実務的なことがらと、遠くにある将来みたいなものが。大学受験のときもそうだった。これは成長していないんじゃなくて、こういう性格なんだろう。けっこうまっとうだと思うんだけど。
私のことを「ふつうの大学生」たちはどう思っているのかな、って最近よく考えている。まさか「変わり者」ではないでしょう。
そろそろ中学二年生すぎるのでやめまーす。
私のロストバージンうんぬんの話じゃなくて残念だったな!ばかめ!!