ゆきりん

おひさしぶりです。2011年も下半期が始まってしまいました。というか、7/12が終わろうとしているんですね。で、また同じ季節にこんな話を来年も再来年もするのでしょう。そんなふうにちょっと先の具体的な想像ができる人生って、素敵ですよね。あ、べつに?
なんだか更新をさぼってしまいました。ひとことで理由を説明するのは難しいのですが、簡単にいえば「たぶんボランティアに行った話が期待されているのだろうけれどもまだ消化不良を起こしているので何も書けない」という自意識過剰ぎみな心情によるものが大部分です。ほかにも、お勉強やお遊びが忙しかったりして、日々の諸々に追われていました。ボランティアに行った話はちょっとまだ待ってください。あ、でも、たぶん近いうちに、大学のボランティアセンターのサイトに短い文章が載る予定です(作業中に熱中症でダウンしたくせに厚かましく「体験記を書きたいです!」って立候補させてもらっちゃいました)。ちなみに本名で。当たり前ですが。
「最近なにしてるの?」という質問に答えるのはあまり得意ではありません。だいたいいつもたいしたことはなにもしていないからです。先月の今ごろまでは「雑誌を作っているんだよ」と話していたのでしょうが、ぶじ原稿を印刷所に持ち込み、今はちょうど鬼の居ぬ間の洗濯、じゃなくて、「戦士の休息」なのです(この単語の意味がわからない人は、わかるまで「耳をすませば」を何度でも見てください)。作った雑誌については、また宣伝させてください。映画の雑誌です。レビューというよりも、もっとがちがちの、いい意味で学生らしい雑誌だと思います。
ブログを書かなくなったのは、以前のように、ものごとを考えてもうまくどこかに着地できなくなっているから、というのもあります。最近「主義主張のない人間だ」と言われたのですが、まあそのとおりで、ひとつを選んでしまうことが怖いんですよね。
友人(彼女いない歴=半年超)の誕生日に『モテる男はこう口説く!』(マーチン)という本をプレゼントしたり、「色気がない」と複数名の男性から言われたりしたのがきっかけで、この一週間くらい、恋愛を題材にした本や漫画や映像にものすごくたくさん触れました。で、すごく疲れて、さまざまな局面でどういう行動をとるのが正解なのかわからなくなりました…。もちろん正解なんてないんだけど。で、かんぺきさを求めてはいけないんだけど。
いくつかご紹介しておきます。
草食系男子の恋愛学』(森岡正博)は、学者の書いたものなので「恋愛学」のお勉強の本かと思ったら、やさしい恋愛マニュアル本でした。前に書いた『モテる男はこう口説く!』が女の子を性欲の対象としてしか捉えていないのに対して、ちゃんと人間として恋人としてつながろうとするためにどうすればよいか書いてあって、なかなか好印象でした。特に、女の子が生理でどれだけつらいかとか、セックスでどういうふうに気疲れしているのかとかが書いてあるパートがとてもよかった(私は「もっとも恥ずべきセックスは、相手の弱みにつけ込んで、相手を自分の欲望達成の道具にするようなセックスだ。このようなセックスが地上から消えてなくなることを、私は真剣に願っている」という締めの文章を読んで大いに心動かされ、筆者にメールかなにか書きたくなりました)。でも、これを読んでから恋愛に挑もうとするような男は嫌い。心のつながりとかなんだかんだいってるけど、結局はやりたいんじゃないの?素直になっていいのに…と思ってしまうのですが、個人的な意見でしょうかね。ごめんなさい。
そういうわけで、リアルに感じられたのは『モテキ』(久保ミツロウ)でした。ドラマはDVDを揃えてしまうほど熱心に見ていましたが、じつは漫画をしっかり読み通すのは初めてでした。本気で好きだったり、相手のことをちゃんと理解したり、自分のことを全部さらけだしたり、しなくてもいいでしょ、っていう姿勢で物語が転がっていくのが気持ちよかったです。「理想の恋人」とか、「ぴったりくる人」とか、いませんから。そういう世界で相手と関わっていく「めんどう」を快楽に読み替えるのが、人間としての力なんじゃないかと思います。
内田樹先生が『街場の現代思想』で、こんなことをおっしゃっていました。人間は、こと恋愛において、最悪の結果を予測しがちだ。つまり、相手の言動をどんどん悪いほうに裏読みしてしまう。そうすると、そういう未来が訪れてしまう。だから、「私はこの人のことがよくわからない(でも好き)」なんて姿勢でいるのがいちばんよいのだ。理解も共感もできなくても、抱きついたら向こうも腕を回してくれる。それで充分なんだそうです。そういう相手とも人間関係(ひいては婚姻関係)を築くことができるのが、人間なのだと。ふむ。
ちなみに、相手の言動を良いほうにしか解釈できなくなったら、あなたはストーカーの素質があるそうです。せっかく好きになった人なんだから、迷惑をかけないように気をつけてくださいね。『草食系男子の恋愛学』に書いてありましたが、まったくもってそのとおりだと思います。
そういえば、「夏だから恋人がほしい」と言う人に恋人ができているのを見たためしがありません。たぶん恋愛にファンタジーを抱きすぎなんだと思います。そういうわけで、なんとなくそういう感じがするから(ウィキペディアの「柏木由紀」の頁を見てみるがいいさ、幻想のかたまりみたいになってるから)、ゆきりん好きな男は嫌いです。